女神のコレクション(後編)
  
MTS

この話は、一部に残酷な描写を含んでいますのでご注意ください。

3.太陽系の蹂躙

 太陽になりそこねた星と呼ばれる木星は、太陽系の中では最も大きな星だ。地球と比べると、直径では10倍以上、質量では300倍以上にもなる巨大な惑星である。
 という事は、太陽系に遊びに来た3人の女神達にとっては、少し大きめなボール位の大きさがあるという事だ。
 「あはは、あの星は私の玩具やからねぇ!」
 厚い大気で覆われた木星を指差したのは、アストレイアーだった。
 女神達で話し合った結果、太陽系で一番大きなこの惑星は、彼女の物という事に決まっていた。
 「おねーちゃん、ずるいー。
  レーネも、おっきい星、食べたいよぉ!」
 いざ、姉が木星で遊ぼうという段階になると、末妹が文句を言い始めた。
 水星と金星をおやつ代わりに食べ、火星も姉達と一緒に溶けるまで舐め尽してしまった彼女だが、人差し指の先に乗ってしまうような小さな星を幾ら食べた所で、満足など出来なかった。
 「んー、こんなちっちゃい星、幾ら食べたってお腹いっぱいにならないぞ?
  それより、違う事して遊ぼうや」
 アストレイアーは言いながら、木星に手を伸ばす。
 太陽の重力によって、その周りを周回運動している木星と、さらにその周りを回っている数十の衛星達の前に、肌色の壁が出来た。
 「ほれ、もう太陽の周りを回んなくてもいいんよ、木星君。
  今から、君は、私達の玩具になるんやからねぇ?」
 太陽系で最も大きな惑星は、ゆっくりと太陽の周りを回っている。
 それでも、その平均速度は音の40倍程度、1秒の間に13キロという速度にもなる。
 時速という事で考えると、1時間に47000キロもの距離を進む速度という事だ。
 もしも、女神達の足元に木星が居たとすれば、1時間後には彼女の膝位までは来る事が出来るわけだ。物凄いスピードである。
 地球の半分以下の速度だが、まあ、女神達がじーっと観察していると、動いているのがわからなくもない。
 「そうか、この星達は、皆、太陽の周りを回っているのだな…」
 次女のエウノミアーが、少し感慨深く言った。
 ちっぽけな宇宙の小さな星達が、宇宙のルールに従って、秒速十数キロ〜数十キロというゆっくりとした速度だが、動いているのだ。
 彼女は小さな宇宙に存在する法則を考えて、物思いに深ける。胸に収めている、バリアに包んだ地球に指先を伸ばして、バリア越しに撫でてみた。
 「そうやねぇ。
  ちっちゃいけど、みんな頑張ってるんやねぇ」
 アストライアーが、うんうん。と妹達に頷いた。
 彼女が何気なく広げた手のひら。
 そこに、地球の10倍以上大きな星が、秒速13キロものスピードで衝突する。
 「ほれ、おとなしくしなさい!」
 弱々しく、自分の手のひらを押してくる星の事がアストライアーは可愛かった。
 少しだけ力を入れて、手のひらを閉じてみた。
 太陽系の中では最も大きな木星も、女神の虜となってしまった。
 だが、太陽系の他の惑星を全て合わせたよりも大きくて重い星は、さすがに他の星とは一味違う。
 アストライアーの手に入りきらず、まだ、少し動いていた。
 その小さな星の抵抗はアストライアーを楽しませた。
 やはり、少し手応えがあった方が面白い。
 「んふふ、ちっちゃなお星様が私達に逆らっても無駄なんよ?」
 にたぁ、と笑いながら指の間からはみ出そうな星に力を込めた。
 途端に木星の表面に亀裂が入る。
 このままでは、木星は砕けてしまう。
 「おーと、誰が壊れていいなんて言った?」
 あわてて、アストライアーはもう片方の手を添えて木星をしっかりと握り直す。
 「全く…根性の無い星やなぁ?」
 少し力を入れたら壊れてしまいそうな星に、女神は落胆の表情を隠せない。
 「仕方ないよぉ、ちっちゃいんだもん!」
 エイレーネーが、木星で遊んでいる姉を恨めしそうに見ている。
 「んふふ、ちょっと待っとりな、妹」
 アストライアーには何か考えがあるようだ。
 両手に握った星に力を加え、少しづつ砕きながら、同時に星を再生させるように創造の力を加えていく。
 すると、パンの生地でもこねるように木星の形が少しづつ変わっていく。
 「最初に大気を吹き飛ばしといた方が良かったなぁ、邪魔や…」
 星をこねていくと、その周りの大気が次第に惑星の岩盤と入り混じっていく。掴み所の無い大気が、アストレイアーは邪魔だった。
 時々、地球の直径ほどしかない細い小指を立てて木星を貫き、ガス抜きをしたりもした。
 しばらくすると、木星は細長い筒のような形に仕上がった。
 「よし、これに力を注いでと…」
 原型を留めていない星に、アストレイアーは力を注いだ。
 すると、まるで生き物のように木星筒(仮名)が揺れ始めた。
 「うん、こんなもんやね」
 神の力に耐えられずに、今にも爆発しそうに振動する木星筒。
 予定通りの品が出来たんで、アストレイアーは満足した。
 次は、これを使って遊ぶ番だ。
 「うわぁ、ぴくぴく動いてるね…」
 不思議そうに、エイレーネーが木星筒を眺める。
 その先端は、穏やかな流線型になっていた。
 「さて…レーネに新しい遊びを教えてやろうかね」
 「…え?」
 何だろう?
 エイレーネは、姉の言葉に首を傾げた。
 「なるほど…
  レーネも、いつまでも子供じゃないから、良いかもしれない」
 エウノミアーが言った。
 彼女は地球を手のひらの中で転がし、色々な角度から眺め続けている。彼女の心は地球で遊ぶ事でいっぱいのようだ。
 何だろう?何するの?
 エイレーネーは、わけがわからない。
 「んふふ、レーネ。
  女の子のここは、何の為にあるか、知ってるかい?」
 アストレイアーは末妹の股の間を、木星筒で指し示した。
 「え?おしっこを出すためでしょ?」
 きょとんと、きれいなピンク色をしている自分の股の間の割れ目を見てみた。
 他に何をしろと?
 「出すだけじゃないんだねぇ、これが。
  入れる事もあるんだよぉ…」
 アストレイアーは、無垢な妹を楽しそうに見ている。
 「うん、初めてやしな。
  ミアー、ちょっとレーネの事を抑えててな?」
 「了解した」
 エウノミアーは素直に姉の言う事に従って、妹の背中に回り、彼女の脇の下に手を回して羽交い絞めのようにした。
 「わ、な、何するの、お姉ちゃん?」
 「少し痛いかもしれない。
  …でも、慣れると気持ちいい。我慢しなさい」
 淡々と言うエウノミアー。
 長姉よりは頼りになる彼女が言うならと、エイレーネーはおとなしくする事にした。
 「さ、足、開いてみ?」
 「こ、こんな感じ?」
 エイレーネーは、少し足を開いて宇宙空間に立つような姿勢になる。
 「んー、もっとやね。
  座り込んで、がばーって開く感じや」
 「が、がばーっと?」
 言われるままに、お尻をついて座りながら膝を開いたような姿勢になってみる。
 そうすると、股の間が露になる。M字開脚のような体勢にになる。
 「うんうん、それや。
  …じゃ、いくよぉ?」
 アストレイアーも、彼女の前に屈む様な姿勢になり、手にした木星筒を妹の股の間に近づける。
 「う、うわ、ぴくぴくしたのが近づいてくる…」
 女神の力で軽く振動する、木星筒。
 その、優しい流線型をした先端が、自分の股の間に近づいてくるのをエイレーネーは見入っていた。
 「ほれ、こんなちっぽけな星が怖いのかい?」
 「む、こ、怖くないもん。こんな玩具みたいな星なんて!」
 強がるエイレーネー。姉に乗せられている事には気づかない。
 頬を膨らませて、木星筒をにらんだ。
 …でも、やっぱりちょっと怖い。
 段々と、その先端が近づいてくる。
 やがて彼女のピンク色の割れ目に、それは触れた。
 「ほ、ほんとに中に入れちゃうの?」
 「ほんとに、入れちゃうなぁ」
 まだ、エイレーネーは少し信じられなかった。
 木星筒の振動を感じる。
 少しづつ、彼女の股の間の割れ目を押し広げて、それは体の中に入ってくる。
 「うぁぁ…何これぇ…」
 「下の口から、おやつを食べるって思えばいいかもなぁ?」
 初めての体験に嬌声を上げる妹に、姉は優しく言った。もう一人の姉が、震える妹をしっかりと羽交い絞めにしている。
 「んくっ…痛いよ!
  何か破れたみたい…」
 エイレーネーは、木星筒を差し込まれた股の間で微かな痛みを感じた。
 何かが破られたような感じだ。
 本来なら、たかだか惑星ごときが体に触れた所でどうという事は無いのだが、木星筒には姉の女神が力を込めているのだ。
 「痛い…あんまり動かさないでよぉ…」
 股の間に挿入された木星筒が、乾いた胎内で彼女を刺激する。
 「もうちょっと我慢しててみ?
  段々、気持ちよくなってくるから…」
 アストレイアーにとっては、手慣れたものである。妹が壊れない程度に、彼女の胎内を棒で弄んだ。
 姉の優しい声を聞きながら股の間をいじられていると、エイレーネーは、段々と気持ち良くなってくる事に気づいた。
 乾いていた胎内が、いつのまにか濡れてきた。そうすると、中で何かが擦れても余り痛くなくなってくる。
 体の中に棒が入ってくる事が、段々と気持ち良くなってきた。神の力でコーティングされた木星の残骸は、程よく彼女を刺激した。
 「お姉…ちゃん、これ、すごいね…!」
 気持ち良さと少しの痛さで、気を失いかけてるエイレーネーは、小さく呟いた。
 ぐったりと体の力が抜けて、感じた事の無い快楽に身を任せている。
 「んー、もうちょっといってみよっかねー?」
 妹の様子を満足そうに見つめたアストレイアーは、妹の股に挿入した木星筒に、さらに神の力を込めた。
 すると、すでに女神の力に耐えかねて振動していた木星筒は、一気に弾けたてしまった。
 かつて、太陽系で最も大きかった惑星が、エイレーネーの胎内で魔力と共に暴れ回った。
 「きゃぁぁぁん!」
 刺激に耐えかねたエイレーネーが、メス猫か何かの鳴き声にも聞こえる悲鳴を上げて、エウノミアーの手の中で一際暴れた後、動かなくなった。
 「気を失ってしまった。
  少し、レーネには刺激が強すぎたようだ」
 エイレーネーを黙々と羽交い絞めにしていたエウノミアーが、ぐったりとした彼女から手を離した。
 「う…ご、ごめんな…」
 さすがに子供には刺激が強すぎたかと謝る、アストレイアー。
 それでも少し気を失っただけだから、少しすれば目を覚ますだろう。
 ちっぽけな星が弾けた位で、女神が死ぬ事などありえない。
 二人の姉は、妹の事をあまり心配していなかった。
 そうして、木星が女神の胎内で弾け、砕け散ったので、太陽系に残る星は土星、海王星、天王星、そしてエウノミアーが胸に抱えた地球だけになる。
 たまたま角度が良かった地球の住人は、木星が女神の自慰の道具として砕け散る様子を目の当たりにしていた。
 地球の地下に居た赤池は、ここまで来ると楽しさすら感じ始めていた。
 玩具で遊ぶように、太陽系の星々を蹂躙していく彼女達には、きっと地球に住んでいる人類の事なんて見えないんだろう。
 地球は、これから一体どうなるんだろう?
 他人事のように考える。
 水星や金星、火星のように、飴玉みたいに巨人の少女達に食べられてしまうんだろうか?
 それとも、木星のように彼女達の陰部に入れられてしまうんだろうか?
 どちらにしろ、地球を指先に乗せてしまう大きさの女神達に、逆らう術など何も無いのだ…
 地表に居た人類は、先ほどエイレーネーに息を吹きかけられた時に絶滅している。少女の赤い唇が空を覆った光景は圧巻には違いなかった。
 …出来れば、あの子が良いな。
 地球を胸に抱いている、名前も知らない巨人の少女の事を赤池は思う。
 無表情に、彼女は自分にとっては乳首より少し大きい程度の大きさになる地球を胸に抱いている。
 いつしか赤池は、宇宙に広がるエウノミアーの無表情な顔を見ている時間が長くなっていた。
 彼や、他のわずかな地球人の生き残りの思いを、しかし女神達は知る由も無い。
 「んー…じゃ、レーネが目を覚ますまで、少し遊ぼうかね」
 「何をするんだ?」
 陰部の刺激に耐え切れずにぐったりしている妹を尻目に、姉二人が相談している。
 「うん。まずな、ちょっとこのちっぽけな『宇宙』のルールに体を合わせてみ?」
 「ん…わかった。やってみる」
 今まで、この宇宙の法則、物理的なルールを一切無視して気ままに振舞っていたエウノミアーは、この宇宙のルールに体を合わせてみる事にした。
 ちっぽけな宇宙だが、ちっぽけなルールの下に、色々な物が存在しているのだ。
 エウノミアーが宇宙のルールを意識すると、彼女の体は、その大きさに似合った質量を持ち始め、同時に重力を発するようになった。
 「な…なんだ?
  地球が私の胸に張り付いてきたぞ…」
 胸に抱えていた地球が、彼女の重力に引かれて吸い付いてきた。
 小さな小石が胸を押してくるのは、少し快感でもある。
 「あんたの体、この宇宙では結構な大きさになるからなぁ。
  ちっぽけな星クン達が、寄ってくるわけやね。
  とりあえず、あんたの胸だけ、この宇宙のルールに合わせるようにしてみ?」
 「難しいな…やってみる」
 姉が何をしようとしているのかわからないが、面白そうだ。
 エウノミアーは、自分の胸だけが、この宇宙での質量を持つようにイメージを調整した。
 「うんうん。良い感じ。さすがミアーやね。
  そしたらな、あのワッカが付いた星を使ってな…」
 言いながら、アストレイアーが土星を周囲の輪ごと摘んでくる。
 「おー、引かれる、引かれる。
  ワッカが付いた星クン、ミアーのおっぱいに吸い付きたくて仕方ないみたいやね」
 土星がエウノミアーの重力に引かれている事を、アストレイアーは感じた。
 それから、片目をつぶって、土星を摘んだ指で、それを放る素振りをする。何か狙いをつけているみたいだ。
 姉のやる事がわからず、エウノミアーは黙っている。
 「うん。そしたら、横向きに寝るような感じになってみ?」
 「わかった」
 宇宙を気ままに漂っている女神達に、立っているも寝ているも無いのだが、アストレイアーの存在する向きを『立っている』という事にして、エウノミアーは『寝る』姿勢になってみた。
 「そしたら、いくかねぇ!」
 先ほどから、土星を手にして何かを計算していたアストレイアーは、それを軽く勢いをつけて放った。
 秒速数キロ、時速ならば数万キロの勢いで、土星が女神の手を離れた。それが、どうやら自分の胸と水平に、どこかへ向かって投げられたように、エウノミアーには見えた。
 アストレイアーが投げた土星は、やがてエウノミアーの胸の重力に引かれて向きを変える。
 長姉の女神が加えた力…どこかへ飛ばそうという力。
 次姉の女神の胸が発する重力…女神の胸へと向かう力。
 二つの力が釣り合った。
 どこかへ行こうとした木星は、女神の胸に引かれてどこへもいけない。
 しかし、女神の胸に引かれた木星もどこかに行こうとするから、女神の胸に辿りつく事は無いのだ。
 結果として、土星は女神の胸を中心にして回り始めた。
 かつて、太陽を中心に軌道を描いていたように、女神の胸を中心に回り始めたのである。
 「すごいな…」
 自分の胸の周りを回る、小さな星。その輝きと動きに、エウノミアーは目を奪われた。
 土星は自分に近づく事も無く、離れる事も無く、まるで意思を持っているかのように自分の胸の周りを回っている。
 可愛いな…
 そーっと、指を伸ばして、自分の胸の周りにある星をつついてみた。途端に、土星の軌道が崩れてしまう。自分の胸に甘えて吸い付くように、土星は動いた。
 「わー、触ったらだめや!
  ちっちゃくてデリケートなんだから、大事にしてやらないと…」
 「ご、ごめん」
 確かに、その通りだ。相手が小さな小石のようなものだという事を忘れていた。
 もう一度、アストレイアーは狙いを定めて、土星をエウノミアーの胸の軌道に乗せようとした。
 「あー!
  お姉ちゃん達ずるいよ!」
 姉達の遊びに、復活したレーネが乗ってきた。
 それからは、3人で残った太陽系の星をエウノミアーの胸の軌道に乗せて遊ぶ事にした。
 土星、天王星、海王星と、三つの星達が何度も女神達の指によって宇宙に放り出される。
 「うーん…難しいよぉ、これ!」
 文句を言っているのはエイレーネーだ。
 惑星を指で摘んでは、ビー玉のように宇宙を転がす。それが、角度と勢いの調節が幼いエイレーネーには難しかった。
 勢いをつけ過ぎて、星が本当にどこかへ飛んでいってしまったり、逆にエウノミアーの胸に吸い寄せられて張り付いてしまう。
 「もー、いらいらするなー!」
 思わず手に力が入ってしまうが、それは、やってはいけない事だった。
 直径50000キロ程の小さな星は、女神の指の間で、呆気なく砕けてしまった。海王星と呼ばれていた星だ。
 「うぁー、潰れちゃった…」
 後悔しても、手遅れだ。
 「まだ、二つ星は残ってる。がんばれ」
 宇宙に横たわるようにして、自分の胸の周りを回っている星を眺めていたエウノミアーが妹を励ました。
 エイレーネーは、その後も何回か挑戦して、天王星と土星をエウノミアーの胸の軌道に乗せる事に成功した。
 小さな星が、一生懸命に女神の胸の周りを回る様子。
 それは、一秒間に数キロ程度しか進まない、ゆっくりとした速度だったが、そこがまた、女神達には可愛らしく見えた。
 天王星と土星は、しばらくの間、エウノミアーの胸の周りに軌道を描くを姿を見せる事で巨大な女神達を楽しませた後、エイレーネーのおやつとなる事で、その生涯を終えた。

 4.地球と太陽の末路

 太陽の周囲を回る事で、太陽系という星系を構成していた星達。
 もう、残っているのは、エウノミアーが手にしている地球だけだ。
 「さ…始めましょうか」
 エウノミアーが口を開いた。
 今まで、心を持たない人形かのように無表情だった彼女の顔に、表情が浮かんでいる。
 細い目が笑っていた。心から楽しそうだ。ただ、今までの能面のような顔と比べると表情が違いすぎる。少し狂気が混じったような笑い方だった。
 そんな笑顔を浮かべて、彼女は胸に挟んだ地球に手を伸ばす。
 彼女の歪んだ笑顔と指は、地球に居る赤池には、よく見えた。
 エウノミアーの胸に挟まれている地球から見上げると、丁度、彼女の顔を下から見上げるような形になる。
 空に広がる、能面のような女神の顔が、突然、狂気を帯びた笑顔を浮かべ、地球を指先に乗せてしまえるような手を伸ばしてきたのだ。
 あっという間に、空が女神の白い指先に覆われる。女神の指は近くに来ると、指先だけで地球の上空を覆う事が出来てしまう。
 そうか、地球は、この子の指で潰されるんだ。
 少し嬉しい気がした。
 一番幼く見える巨人、金星や水星を食べてしまった巨人の女の子におやつにされるのは、少し悔しい気がした。
 逆に、一番年上に見える巨人、木星をバイブレーターのように改造してしまった巨人の女の子に玩具にされるのも、やはり悔しい気がした。
 どうせ玩具にされて星ごと滅茶苦茶にされるなら、真ん中の子。無表情だけど可愛い巨人にされたかった。
 今にも地球を押し潰してしまいそうな女神の指先を、赤池は、余り怖いとは思わなかった。
 だが、いつまでたっても、巨人の指は地球には触れなかった。
 地球の周囲に自分で張っているバリアーを、彼女は摘んでいたのだ。
 それから、エウノミアーは懐から何かを取り出す。それは、数珠のように見えた。
 細い糸が小石のような物を突き刺し、幾つかの小石を繋いでいた。
 女神にとっては、小石を繋いだ数珠のような物だが、地球の人間達にとっては、地球と同じ位の大きさの岩石の塊を、北海道程の太さがある糸が突き刺しているわけである。
 「さあ、これでお前達も、私のコレクションの仲間入りだ…」
 エウノミアーは、うっとりとした顔で地球を見つめた。
 それから、数珠繋ぎにした小石の群れに指を向ける。彼女の求めに応じて、小石の群れを繋いでいた糸が切り離された。
 エウノミアーは摘み上げた地球に、その糸を向けた。
 「あはは…みんな、有機物付き。
  みんな、私の物…」
 うわ言のように呟く。
 糸で繋がれた他の星たちも、よく見れば、全て表面に何かの有機物が付着しているようだ。いずれも、エウノミアーがこの宇宙で集めた有機物付きの星である。
 数億とも数十億ともわからならい、神の糸で繋がれた無数の生命体が乗った星は、彼女の大事なコレクションだった。
 エウノミアーの糸は、地球を保護するバリアーを貫いて、その地表に迫っていく。
 宇宙から北海道並の太さがある柱が落ちてくるのを、地球に居る赤池は、わけがわからず見上げている。
 どうも、地球は巨人の女の子の指の間に挟まれているらしい。
 空から落ちてくる巨大な柱も、多分、彼女が何かをしようとしているのだ。
 柱は、宇宙のどこまでも続いているように見えた。
 その柱の途中には、何個もの星、地球と同じような星を貫いているのも見える。
 多分、巨人の女の子は、あの巨大な柱で地球も貫いてしまうつもりなのだろう。
 …いや、柱じゃないんだ。
 赤池は、巨人の女の子の立場になって考えてみる。
 あれは柱じゃなくて、ただの糸なんだ。僕達にとっては直径数十キロもある柱だが、彼女にとってはただの糸なんだ。
 その糸で、惑星をを小石みたいに幾つも繋いでいるんだ…
 赤池が見つめていると、エウノミアーの糸は太平洋辺りに落ちて、そのまま地球の反対側まで、柔らかいバターでも切るように、貫いていった。
 …でも、こんな事をしてどうするんだろう?
 地球に住む小さな生き物は、女神のやりたい事がわからずに身を任せるしかなかった。
 「さあ…頼む、姉さん」
 地球に完全に糸が通ると、エウノミアーは元のように、他の惑星と合わせて1つの数珠のようにする。
 それをアストレイアーに手渡した。
 静かな声に狂気が篭っている。
 「お、おう、お姉さんに任せなさい」
 こうなると、エウノミアーは止まらない。アストレイアーは、少し引きながら、それを受け取った。
 「じゃ、じゃあ、四つん這いになるんよ?」
 言われるままに、エウノミアーは宇宙で四つん這いになるような姿勢になる。
 堂々と腰を突き出すようにして、姉に向けた。
 「ホレ、それじゃ行くよ〜?」
 数珠繋ぎになった星々が、アストレイアーの求めに応じて切られた。
 女神の手の上で円になっていた星々が、1つの直線になった…
 糸に繋がれた地球で、赤池は何が行われようとしているのか、未だに理解できなかった。
 自分達の星が繋がれた糸の先には、背中…いや、お尻を向けた巨人の女の子が居る。別の巨人の女の子が、糸で結ばれた星々を手にして、何かをしようとしている。
 左右にどこまでも広がる山の間に、穴が開いている。
 赤池は、裸の女の子が四つん這いになっている所を、後ろから見るのは初めてだった。
 巨人の女の子が広げているお尻の穴…菊門に幾つも広がっているひだの間に、日本列島位は簡単に入ってしまいそうだ。
 糸で結ばれた星達は、どうやら、そこに向かっているようだ。
 あんな所に入れられたら、どうなっちゃうんだろう?
 指で潰されたり、食べられたり、もしくは木星のように陰部に入れられてしまったり。
 赤池は、確かにいろんな場面を考えていた。
 でも、お尻から入れられてしまう事は考えていなかった。
 巨人の女の子の手が動いた。
 彼女は、自分の手を使ってお尻の穴を広げるようにしていた。
 「アナルビーズ…?」
 赤池は、ようやく理解した。
 主に女性が淫らな遊びに使う玩具だ。
 お尻の穴で色々遊ぶ練習で、主に使うらしい。
 小さな玉を糸で結んで、少しづつ入れて楽しむのだ。
 そうした淫らな玩具の一部に、地球はされてしまったのだ。
 これから、自分達が入れられる場所を、赤池は呆然と見ている。
 女神用のアナルビーズを形成する、最初の星がエウノミアーの肛門に入った。
 彼女のお尻が楽しそうに震えて、飲み込んだ星を締め付けるかのように閉じられるのが見えた。
 エウノミアーの菊門が、彼女の体に侵入しようとする小さな星を締め上げている。
 …あんな巨人に力を入れられたら、星なんて簡単に砕けてしまうんじゃないだろうか?
 やがて、地球もああなるのだ。
 赤池は、地球の運命をはっきりと見た。
 1つ、また1つと、星が彼女の菊門に挿入されていく。
 「まぜてよー…」
 姉達のやり取りを、つまらなそうに見ているエイレーネー。
 やっと陰部を開発したばかりの彼女は、お尻で遊ぶには、まだ早すぎる。
 「ホレ、ついか」
 もだえる妹の様子を楽しんでいるアストレイアーの手に握られているのは地球だった。
 「んっ…」
 小さく歓喜の声を上げるエウノミアー。
 そして、地球は彼女に挿入された。
 暗闇の中で、薄いピンク色をした菊門の内部が地球を締め上げようとして閉じられる。
 空が女神の体の中で覆われるのを、赤池は見た。
 エウノミアーは気持ちが良いから、我慢する事も無く、お尻に力を入れて締め上げた。
 そうして、女神のアナルビーズにされた星は、全てエウノミアーに挿入された。
 「後は…あれだ」
 少し頬を赤らめ、上機嫌なエウノミアーは、アナルビーズを挿入したまま太陽を指差した。
 「お、お姉ちゃん、そんなの入れたまま行くの?」
 エウノミアーは姉のお尻から、糸の端だけを出しているアナルビーズが気になってしかたない。
 「行く…」
 エウノミアーは、元のように無表情に頷いた。
 「まあ、それもいいやね〜。
  最後は、体を温めて帰ろうか」
 アストレイアーは言いながら、太陽に向かって飛び始めた。彼女の妹達も、その後を追う。
 もう、太陽系は存在しなかった。
 太陽を回っていた惑星は、全て女神達の玩具になって宇宙から消えた。
 最後に残ったのは、今の女神達と同じ位の大きさをして、無力に光と熱を発している太陽だけだった。
 女神達は、迷う事無く太陽に近づく。
 「んー、いいねー、刺激的で!」
 100万度程の温度を発する、太陽を包むコロナに飛び込んだのはアストレイアーだ。
 少し熱くて気持ちが良い。
 太陽を体中に浴びた。妹達も、それぞれに太陽の力を感じている。
 女神達は、太陽を取り囲んで、そこに軽く身を沈めて楽しんだ。
 「消毒しよう」
 呟いたのはエウノミアーだ。自分のお尻の穴から顔を出しているアナルビーズの端の糸に手を伸ばした。
 一つ一つ、入れた時と同様に星々を外に出していく。
 「…これだ。
  ずっとずっと、持ち帰っていつまでも…」
 うわ言のような言葉を我慢できない。
 菊門に入れたものを外に出す時には、入れた時と同様の刺激があるので気持ち良いのだ。
 1人でもだえながら糸を抜き終えたエウノミアーは、それを太陽の中に晒した。
 光と熱の渦。
 地球の赤池は、目を開ける事が出来なかった。目を閉じて地下でうずくまる。
 …生きてるのか?
 光の中で、赤池は考える。
 どうも、天国や地獄という場所には来ていないようだ。
 女神のバリアーに包まれた地球は、女神のお尻に挟まれても潰される事なく存在していた。
 …地球を壊す気は無いのか?
 赤池は理解した。
 巨人の女の子は、地球を他のアナルビーズの星と同様に、玩具として持ち帰るつもりなのだ。
 そういえば、同じようにアナルビーズにされた星も、表面が青くて、地球のようだった。もしかしたら生命体が居るのかもしれない。
 そうだ。
 そうした星を集めて楽しんでいるんだ、この巨人の女の子は。
 光の中で赤池はため息をついた。
 幼い女神の一吹きで、地上の人類は全滅したが、地下に居た人類は一応無事だ。
 …喜んで良いのかな。
 巨人の女の子の卑猥な玩具として、地球は存続していく事は出来そうだ。お尻に挟まれて潰されるよりは良いのかもしれないが、素直にも喜べない。
 だが、考えてどうにかなるものでも無いので、赤池は少し休もうと思った。
 一応、生きている事だけは確かなのだ…
 エウノミアーは、赤池が居る地球を含むアナルビーズを太陽で丹念に消毒した後、口を開いた。
 「これ、入れてみていい?」
 太陽を指差した。
 「うへー…気をつけてなー?」
 「うわぁ…」
 彼女の姉と妹は、声が無いようだった。
 「じゃあ、入れてみる」
 エウノミアーが無表情に言った。
 それから、宇宙が薄い光に包まれた。
 その光の中心に居るのは、エウノミアー。
 「太陽系も、これでおしまいか」
 無表情に呟いた。
 彼女の視線は、右手の人差し指に乗せている赤い塊に向けられている。
 小さい炎を吹き上げているそれは、太陽だった。
 100倍程大きくなったエウノミアーは、太陽を指先に乗せているのだ。
 「これは…別に持って帰らなくていいや。有機物ついてないし」
 小さな炎の塊を、自分のお尻の方へと運んだ。
 お尻の穴からそれを入れてみると、体の中で熱いものが暴れているようだった。
 「最後の抵抗ね。可愛い…」
 ためらう事無く、それを締め上げた。
 何度も、何度も、菊門でそれを揉んでいく。
 しばらくの間は温かくて気持ち良かったが、やがて、太陽も彼女の菊門の間で力尽きて消えてしまった。
 そうして、太陽系は宇宙から姿を消した。
 ただ、地球のみが、エウノミアーの玩具として存在を許される事になった…

 (本編完)


---妖精の指先を読んで無い方、興味が無い方は、この先は読まなくても大丈夫です---


 5.後日談

 それからしばらく立ったある日、エウノミアーは神の神殿に居た。
 大事なコレクションのアナルビーズを眺めて、ぼーっとしている。
 やる事が無い日は、彼女はそうやって時間を過ごす事が多かった。
 もちろん、気が向いた時には、それらのコレクションを役立てたりもする。
 彼女の元を友人が訪れたのは、そんな時だった。
 神殿から外を見ていると、誰かが空を飛んでくるのが見えた。細身の女のように見える。
 「戦いの女神か。久しぶり」
 かすかに微笑んだ。会うのは随分久しぶりになる友達だ。
 確か、最近、どこかの世界に行った時に仲間同士でケンカをしてしまい、大事な翼を折られてしまったとも聞いたので心配していた所だ。見ると、まだ翼は治っていないようだ。
 エウノミアーは、戦いの女神を神殿に招き入れた。
 「全く…相変わらず女神ごっこをやってるの?
  進歩の無い…」
 少し呆れた様に、戦いの女神は笑った。
 「そう言うな。楽しいぞ。
  そうだ、久しぶりに会いに来てくれたんだ。
  これ、あげる」
 エウノミアーは大事にしているアナルビーズを、戦いの女神に差し出した。
 「何これ?」
 戦いの女神は、それを受け取って首を傾げる。
 見た事が無い玩具だ。
 小さく輝く小石が、いくつも糸に結ばれている。
 まるで宝石のように、戦いの女神には見えた。
 「アナルビーズだ」
 エウノミアーは、その用途を自慢げに戦いの女神に説明した。
 みるみる、戦いの女神の顔色が変わる。
 「ということは、これ、あなたのお尻に何度も入れられてたのね?」
 「そうだ」
 戦いの女神の言葉に、エウノミアーは頷いた。
 「そんなもの、触らせないでよ!」
 戦いの女神は、顔を真っ赤にして怒鳴りながら、アナルビーズを神殿の床に叩きつけた。
 パリーン。
 幾つかの不運な星が砕け、幾つかの幸運な星は砕けずに済んだ。
 「なんだ、要らないのか…」
 不満気に、壊れたアナルビーズを拾い上げるエウノミアー。
 「ご、ごめんなさい。やりすぎたわね」
 滅多に表情を変えない友達が不満そうにしているので、戦いの女神は、何だか悪い事をしてしまった気がした。
 「いい。また集める。
  …それより、どうした?
  私達なんかを訪ねてくる位だから、何かあったのか?」
 エウノミアーは、少し微笑んだ。
 自分達の一派が他の仲間達からどういう風に見られているかは、よく知っているつもりだった。
 神を名乗って、小さな出来損ないの世界を幾つも作っている愚か者達と。
 「そうね、ちょっと頼みたいの。
  知ってるでしょ?
  色々大変なのは」
 「知っている。この神殿の近くにも色々来ていた。
  それにラウミィの頼みなら、何でも聞く。
  あなたは、私の友達だ」
 ラウミィの頼みの内容も聞かずに、エウノミアーは頷いた。
 それから、妖精達は話を始めた…

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( ̄_ ̄)ノ あ ( ̄_ ̄)ノ と ( ̄_ ̄)ノ が ( ̄_ ̄)ノ き

思ったよりも長い話になってしまいました…

何というか、三女神は完全に一発キャラのつもりだったんですが、気に入ったんで、そういうオチにしちゃいました。指先関係を呼んでくださってる方は、呆れて笑って下さい。

詐欺ですか、そうですか。

でも、もしも指先関係の方に出演する事があったら、その時の戦闘方法として、自分達の世界に敵を誘い込んで、

悪いけど、この世界の法則では神は私達だ』

とか言って、星より大きな姿で現れて…

とか、どうでしょう?

だめですか、そうですか。

というか、これって昔ジャンプでやってた漫画で同じようなネタありましたね。封○とか○神とか。考えてから気づきました。しかも三姉妹だ。

まあ、今回は、そんな感じです。初めて読んでくださった方、毎度読んでくださってる方、ありがとうございました…

( ̄_ ̄)ノ お ( ̄_ ̄)ノ し ( ̄_ ̄)ノ ま ( ̄_ ̄)ノ い