もっと攻城戦
MTS作
※この話は残酷な描写と排泄行為等の下品な描写を含んでいますのでご注意下さい。
※不快な気持ちになるかも知れませんので、本当にご注意下さい。
1.アリさん
通学路を大分離れた道である。
人気の無い山道は、ハイキング等の娯楽で通る場所であり、学校帰りの小学生が通るような場所ではない。
なので、麗奈(れいな)は赤いランドセルを背負った下校中に、あえてそんな山道を通っている。
…今日も居るよね、きっと。
軽く整備された道の脇が、麗奈の目的地だ。
屈みこんで地面を観察すると、小さな黒い群れが行列を作っている。
アリの行列だ。
それは全長1センチ程、足や触角の大きさが肉眼でもわかる位の、少し大きな種類のアリである。
どこから来てどこへ向かうのか、今日も行列を作っていた。
彼らの頭上で、満面の笑みを浮かべる人間の少女が見下ろしている事を、彼らは気づく事も無い。
…アリさんて、自分より何十倍も大きな物を持ち上げられるんですよね?
低学年の頃、理科の授業で色々な虫の生態を習った時の事を、麗奈はいつも思い出す。
『自分の身体の何十倍も大きな物を持ち上げられる』
その言葉が、麗奈の胸に残っていた。小さな身体に似合わない虫の不思議さは、幼い女子の好奇心を刺激していた。
それから、麗奈はアリに興味を持った。
地面を歩くアリの行列をしばらく見ていた麗奈は、やがて、細い指先を行列に伸ばす。
少女の若い反射神経と器用な指先は、素早く地面を這い回るアリを一匹摘み上げた。
潰してしまわないように、優しく胴体を摘んで、麗奈はアリを観察する。
アリは、激しく暴れまわって逃れようとした。
だが、『自分の身体の何十倍も大きな物を持ち上げられる』アリも、彼らより遥かに大きな人間の少女の指から逃れる事は出来なかった。
…何十倍も大きなものを持ち上げられても、何千倍、何万倍も大きな相手には敵わないですよね?
麗奈は指の間で、恐らく何が起きたのかもわかっていない虫の様子を観察した。
おそらく、自分を捕らえているのが、自分よりも遥かに大きな生物だという事もわかっていないのだろう。
アリは麗奈の綺麗な指先に噛み付き、彼女の皮膚を微かに傷つけるが、それで精一杯だった。
微かな痛みを麗奈は感じる。その痛みに、麗奈は微笑んだ。
…結局、虫は虫なんですよね。
麗奈はアリを摘む指にゆっくりと力を込めると、その胴体を押し潰し、少し勢いをつけて地面へと投げつけた。
所詮、アリはアリ。虫は虫なのである。
自分の体の何十倍も大きな物を持ち上げる事が出来ても、何千倍も何万倍も大きな相手の前では成す術が無いのだ。
まだ、微かに動いているアリは、仲間の行列の側に捨てられた。
…すぐ楽にしてあげるね。
麗奈は屈みこむと満面の笑みを浮かべて、瀕死のアリに人差し指を押し付けた。
もちろん、人間の少女がほんの少し本気になれば、小さなアリは抵抗する事など出来るはずもない。
獲物を砕く顎も、身体を覆う殻も、何の役にも立たないのだ。
それから、麗奈はアリの行列を跨いで屈みこみながら、大きめのアリ、強そうなアリを選んで、指で潰し始めた。
麗奈の前では、文字通り虫けら同然のアリの群れ。
…あはは、楽しいな。
麗奈は胸が高鳴り、興奮するのを感じる。
『自分の身体の何十倍も大きな物を持ち上げられる』勇者達も自分には敵わないのだ。
アリの勇者達を指先で軽くすり潰している麗奈は、何とも言えない優越感に浸り続ける。
低学年の頃から続けている、楽しい秘密の遊びだ。
夢中で何十匹かのアリをすり潰し続ける。
だが、しばらくして…
「相変わらず楽しそうね、麗奈」
背中からかけられた声に、思わず仰け反ってしまった。
楽しい秘密の遊びは、人に見られたくない遊びでもある。
あわてて見上げる麗奈だが、そこには知っている顔があったので、安堵した。
学生服を着た、やはり下校中と思われる中学生の少女である。
身長は140センチ程で、麗奈よりも低いくらいだ。
「静流(しずる)さん、びっくりさせないで下さいよ…」
麗奈に声をかけたのは、麗奈より一つ年上、近所の中学生のお姉さんである。
静流は麗奈の秘密の遊びを知っている、数少ない人間の1人だ。
「ねえ、アリも良いけど、もっと面白いゲームがあるわよ?」
静流は、何やら含みのある笑みを麗奈に見せた。
ゲーム好きの静流は、麗奈にとって、色々と面白い遊びを教えてくれるお姉さんである。
この、大き目のアリの群れが通る場所も、静流に教えてもらったのだ。
「小人さんのお城を攻めるゲームなんだけど、やってみない?」
何やら含みのある、静流の笑み。
これが、悪い遊びを教えてくれる時のお姉さんの表情だという事を、麗奈はよく知っていた。
それから、麗奈は静流に連れられて、どこへともなく歩き始める。
2.騎士さん
麗奈は広い草原の真ん中に居た。
随分と空気が綺麗で心地良い。
足元の草原は、苔か何かのように背の低い植物が茂っていて、緑色のトゲトゲのようだ。
「ねぇ、静流さん?
何処に小人さん居るの?」
麗奈は声に出して、見えないお姉さんに問いかける。
『うふふ、そこでしばらく待ってなさい。
そのうち、貴方を見て驚いた小人さんが襲ってくるわよ』
静流の楽しそうな声を、麗奈は頭の中で聞いた。
小人の群れが襲ってくる。
襲ってきた小人の軍隊を倒す。
それから、彼らの城を攻撃する。
これは、そういうゲームなのだ。
「ふーん。
それじゃ、楽しみにしてるね」
麗奈は服が汚れるのも気にせず、草原に座り込んだ。
彼女が腰を降ろす時に、その風圧を受けて草が舞った。
まだ、小人さんは現れない。
お尻をついて座り込んだ麗奈は、持ってきた虫眼鏡を手に、暇つぶしに地面を観察してみる。
なるほど、苔のように背が低い植物は、異常に小さいが草のようだ。
風で揺れているのが、虫眼鏡で拡大してみると、かろうじて見えた。
『どう、すごいでしょ?
今の麗奈ちゃん、この世界の虫けら人間達から見たら、100倍の巨人なのよ』
「へぇ…すごいですね」
麗奈は背中がゾクゾクするのを感じた。
ここは、剣やら魔法やらの世界。
今から騎士やら何やらの大群と、自分は戦うのだ
そういうゲームである。
…きっと、裏山のアリさんよりは強いよね。
ファンタジー世界の軍隊と戦う事を想像して、麗奈は胸がドキドキとする。
この世界では、自分は100倍サイズの巨人とはいえ、ただの12歳の小学生の女の子なのだ。
危なくなったら、静流お姉さんが助けてくれると言ったけど、不安な気持ちが少しある。
赤いランドセルを地面に置き、短めのスカートを敷物代わりにして、麗奈は小人達が攻めてくるのを待った。
同じ頃、お城の小人達は、地平線の向こうに座っている巨人を見てパニックに陥っていた。
「落ち着け!
あれは、以前に現れた大巨人に比べれば小さいぞ!」
城を守る騎士団長の怒声が、かろうじて兵士達を正気に戻した。
地平線の向こうで、無表情な顔で膝を抱えて座っている少女。
遥か遠くに居るのに、堂々としたその巨体を見る事が出来た。
お城よりも大きな身体に、黒っぽい服を纏っていた。
黒っぽいスカートに、黒いストッキング。肩まで伸びた髪を両方で編み、ツインテールのようにしていた。
年は、10代の前半であろうか?
その巨体に似合わず、可愛らしい女の子に見えてしまう。
城の兵士達は、それでも女の子の姿を見てパニックだった。
恐ろしい大巨人の少女の話を、皆、知っていたからだ。
それは、数ヶ月前に大巨人の少女が現れ、近隣の城が襲われたという噂である。
その大巨人の少女は話し合いに一切応じず、兵士達を踏み潰し、挙句の果てには城を跨いで排泄物で押し潰してしまったというのだ。
逃げ延びた僅かな傭兵達の話だけならば、誰もそんな話は信じなかったが、城を押し潰して余りある少女の排泄物を見ては、信じないわけにはいかなかった。
だが…
「見ろ、あの大巨人は100倍程の大きさだ!
噂に聞いている程では無い!」
騎士団長が、城の兵隊達を叱咤する。
噂に聞く大巨人の少女は、人間の1000倍程もある巨人だった。
その足指でさえ、城よりも背が高かったという位である。
それに比べれば、今、目の前に居る巨人は、それ程には大きくない。
あれなら…勝ち目はあるかもしれない。
それでも、少女は彼女の腰の高さが、この城よりも高いくらいの巨人だ。
圧倒的に不利な事は間違いないだろうが、微かな勝ち目を信じて、勇敢な騎士たちは城を飛び出していった。
1000名程の騎士団が麗奈の方へ着いたのは、それから一時間程の後だった。
「う、うわー、すごいな!」
地面の色が変わってしまったようだと、麗奈は思った。
麗奈の指よりも背が低い小人の群れである。
銀色の鎧を纏った小人の騎士の群れが、文字通り地面を埋め尽くしているのだ。
『うふふ…麗奈ちゃんがちっちゃいから、馬鹿な騎士共、勝てるかもと思って寄ってきたわよ』
「あはは、静流さんの言った通りですね」
地面を埋め尽くす銀色の虫…騎士の大群を見て、麗奈は壮観な光景だと思った。
今の麗奈の大きさは、虫けらの騎士たちの100倍ほど。
だが、それは本来の麗奈の大きさでは無いのだ。
本来の大きさ…もっと大きなサイズでは、どんなに勇敢な騎士たちでも見ただけで逃げてしまうだろう。
だから、あえて小さな姿になっているのである。
勇敢な騎士たちであれば、かろうじて立ち向かおうという気になるかもしれない、ギリギリの大きさに。
『じゃ、元の大きさに戻る?』
「あ、とりあえずいいです。
この大きさだと、小人さん達、アリさんと同じ位の大きさだから、ちょっとスリルありますし」
麗奈は静流の提案を断って、銀色に蠢く大地を見つめた。
背中がゾクゾクとした。
『そう?
まあ、危なくなったら助けてあげるから、楽しみなさいね』
「うん、ありがとうございます」
見れば騎士の大群は、150メートルほど先、麗奈の身長ほどの距離をとって止まっている。
距離を取ったまま近づこうとしない。
…お話したら、言葉通じるかな?
面白いので何か言葉でもかけようとしたが、麗奈は頬の辺りに微かな痛みを感じて、思わず目を閉じた。
「きゃっ!」
麗奈は思わず悲鳴をあげて、顔を覆う。
『気をつけて!
馬鹿な騎士たちが弓で攻撃してるわよ』
静流の声が聞こえる。
チクチクと、棘でも刺さったような感覚は、騎士たちが一斉に弓を射ているのだ。
問答無用の攻撃である。
怖くて、麗奈は顔を覆った。
…攻撃が効いている!
騎士たちは巨人が怯んだのを見て、さらに弓を射かけた。
チクチク。
微かな痛みを感じる。
でも…
「…なーんだ、アリさんに噛まれた方が、よっぽど痛いです」
やがて、麗奈は顔を手で覆いながら、その下で微笑んだ。
微かに痛いが、それだけだった。
もしかしたら毒でも塗っているのかも知れないが、特に今の所は何も感じない。
矢の雨を受けながら、少しづつ、麗奈は顔を覆っている手をどかす。
目に入るのは危ないかもしれないので、念のため、目にはポケットの虫眼鏡を当てて片目だけ開いてみた。
地面を銀色の虫けらが埋め尽くしているのが見えた。
それが、針のように小さな何かを飛ばしているのだ。
麗奈は地面に座り込んだまま、銀色の虫けらの群れに手を伸ばす。
…アリさんより、動きが鈍いみたいです。
急に空から近づいてきた巨人の手。
慌てて付近の騎士たちは逃げ惑ったが、重い鎧を着ている騎士たちは、アリの様には素早く動けない。
1人の騎士が、器用な巨人の少女の指に、瞬く間に摘み上げられてしまった。
途端に、騎士達の群れに動揺が広がる。弓矢での攻撃が止んだ。
麗奈はアリを摘む様に優しく、騎士を摘み上げた。それは、麗奈の指の厚みよりも背が低い小人なので、正にアリと同じようなサイズである。
銀色の鎧を着た騎士の手触りは、確かに金属の手触りだった。
騎士は自由になっている上半身で長剣を振るい、麗奈の指を切りつけるが、彼女の皮膚の弾力に跳ね返されている。
麗奈が注意して感じてみると、かろうじて、何かが触っているような気がしないでもなかった。
…ふーん、アリさんに噛まれた方が痛いですね。
麗奈は自分…巨人の手に捕らえられ、必死に抵抗する小人の騎士を眺めて、少し落胆した。
思っていた程、怖くない。
虫眼鏡を当てて小人の騎士の様子を見ると、騎士は恐怖に我を忘れた様子で抵抗をしていたが、その程度なのだ。
彼の鎧も金属製のようだったが、まるでアルミホイルのように薄い。これでは、アリの殻と大差が無い。
虫眼鏡を当てて、麗奈は騎士の観察を続けた。
攻撃力…アリ未満。
防御力…アリ以下。
射程距離…弓とか持ってるから、まあ長い。
結論…虫けら以下。
麗奈は、自分にとって、大地を埋め尽くす騎士の群れが虫けら以下の存在である事を理解した。
地面では、小人の騎士達が投石機やら何やらで小石を飛ばしていたが、まあ、目に入ってもそんなに問題が無い程度だと思えた。
…なんだ、全然大した事無いんですね。
「ここの騎士さん達って、虫けら以下なんですね」
つまらなそうに言うと、麗奈は騎士を捕らえていた指に力込める。
麗奈にとっては、アルミホイル程の強度しか無い騎士の鎧は、瞬く間に、中の騎士と一緒に潰れてしまった。
「静流さん、全然余裕みたいです。
何か、アリさん以下です、この人たち」
麗奈は、少しつまらなそうに言った。
だが、いつの間にか、地面に座り込んでいる彼女は、大地を埋め尽くすかのような騎士たちに包囲されているのも確かだ。
何百人もの騎士が彼女の巨体にロープをかけ、寄ってたかってよじ登ろうとしている。
座り込んでいる麗奈のスカートの辺りは、蜘蛛の糸のように細いロープでいっぱいだった。
「うわー、静流さん、ちょっとキモイです…」
何百人もの小人の群れに、麗奈は顔をしかめた。
『あはは、スカートに沢山まとわりついてるわね。
麗奈のお尻が好きなんじゃないの? その馬鹿共』
静流の声。
「えー、恥ずかしいです」
麗奈は少し頬を膨らませた。
考えてみれば、何百人もの男達に体を蹂躙されていると言えば、そうである。
少し腹が立ってきた麗奈は、埃でも払うようにスカートの尻の辺りを手で叩いた。
巨大な少女の手の前に、騎士たちは成す術が無かった。
ロープを掴んでよじ登っていた者たちはロープを支えるどころか、巨人の少女の手によって虫のように叩き潰されてしまう。
麗奈のスカートを踏みしめ、必死に剣を振るっていた者も、小山のような手のひらの前では剣など何の役にも立たなかった。
麗奈がスカートを手で払うたびに、必死に取り付いていた騎士達が何十人もまとめて薙ぎ払われてしまう。麗奈にとっては、埃でも払うようなものだ。
二度、三度と、麗奈は埃を払うように、場所を変えながらスカートを叩いた。
バシン! バシン!
麗奈のスカートの上にいる小人達にとっては、山が崩れるかのような振動と轟音が走り、彼女の手によって直接叩き潰されなかった者達も、身体を支える事が出来ずにスカートを転げ落ちた。
五回程、麗奈がスカートを払うと、スカートの上の虫けら達は全滅だった。
「もう…小学生の身体に纏わりつくなんて、エッチな虫けらさん達ですね!」
まだ少し頬を膨らませながら、ついに麗奈は立ち上がった。
小人の騎士たちの観察も終わったし、そろそろ戦ってあげようと思った。
麗奈…身長150メートル程の女巨人は、足を踏み出した。
地面を埋め尽くす銀色の虫けらの上に、全長20メートル程の、黒っぽい子供用の靴が落とされた。
まるで中くらいの要塞程もある、黒い塊だ。
頭上に巨人の少女の靴を見上げた騎士たちは、ようやく悟った。
自分達が、彼女から見れば虫程度…いや、それ以下の存在であるという事に。
ずしん!
麗奈が足を降ろすと、その靴の下に居た銀色の虫けらの群れは赤と銀色の染みになった。
戦いというよりは一方的な虐殺だった。
大地を埋め尽くすような騎士の群れだったが、麗奈にとってはアリ以下の小人達である。
騎士たちは踏み潰されないようにと、無力な鎧を着た身体で逃げ惑うしかなかった。
一部の騎士たちは勇敢に巨人に向かっていったが、真っ先に踏み潰された。
「楽勝です、静流さん。
これ位の大きさでも、私、無敵みたいです」
間違って転ばないようにスカートの裾を押さえながら、麗奈は逃げ惑う銀色の虫けらを冷静に踏み潰していく。
1000人もの騎士をたった一人で相手にして、ちょっとした勇者の気分だ。
一方的な虐殺はしばらく続き、逃げ惑う騎士たちは、その大半が城へと逃げていった。
彼らの城は、麗奈の靴よりも大きな城である。麗奈の腰位の高さはある、巨大な石造りの城だ。
なるほど、逃げ込みたくなるような安全そうな城である。
『あら、結構大きなお城ねぇ?
どうするの、麗奈?』
「結構、面倒そうですね。
元の大きさに戻してもらえますか?」
自分の膝ほどの高さもある、巨大な城砦が相手では、壊すのは面倒である。
麗奈は元の大きさ…今の10倍の大きさに戻いたいと思った。
『そうね、思いっきりやっちゃえば?』
静流も、それを麗奈に勧めた。
「あはは、ますます無敵ですね」
元の大きさ、つまり、この世界では1000倍の巨人である。
その大きさになったら、どういう風にお城を攻撃するかは、麗奈は最初から決めていた。
3.お城
ゴゴゴ…
土砂崩れのような大量の土が流れる音が響くのを、彼らは聞いている。
城に逃げ戻った騎士たちは、地形が変えられていく音を聞きながら、自分達の運命を大体悟っていた。
噂は本当だったのだ。
人間の1000倍も大きな、少女の大巨人。
空に現れた巨大な柱が彼女の指である事に気づいた時、城の騎士たちは絶望した。
少女の身体は、先ほど騎士たちを虫のように踏み潰して回った時よりも、さらに大きくなっていたのだ。
もはや、その指ですら、巨大な城砦を摘み上げる事が出来る程の大きさなのだ。
ゴゴゴ…
土砂崩れのように、大量の土が流れる音が響いている。
巨人の手は、しかし城を摘み上げて潰す様な事はせず、代わりに土を手ですくっては城の周りに積み上げている。
まだ幼い少女のような顔が、城の体積の何十倍、何百倍もあるような土をすくい上げては、無邪気に笑っているのだ。
いつのまにか、城の周りは何百メートルもの高さがある土砂の山で覆われてしまった。麗奈の土遊びの成果である。
「気分はどうですか?
私が、ちょっと土遊びで作った山なんですけど、もう逃げられませんよね?」
土砂の山よりも遥かな上空から、少女の声が降ってきた。
どうせ、今から殺されるのだ。気分が良いはずが無い。
麗奈は虫眼鏡で、城壁の上に上がっている騎士たちの様子を観察する。
諦めた表情や、悔しそうな表情。
いずれも、自分達の運命を悟ったような顔だ。
「お城のみんな、ごめんなさいね。
私、このお城を壊さないといけないから、お城のみんなには死んでもらわないといけないんです」
言葉とは裏腹に笑顔を見せながら、麗奈は騎士たちに言葉を続ける。
「本当は指で潰しちゃおうかと思ったんですけど、可哀想だからやめにしました。
騎士の皆さん、私のスカートに纏わりついてたみたいですし、そんな皆さんに最後にサービスしてあげる事にしますね。
…ちょっと恥ずかしいけど」
わざとらしくおどけて言いながら、麗奈は城を跨いで立ちはだかった。
麗奈が城を跨いで仁王立ちになると、城の騎士達からは彼女のスカートの中身が丸見えだ。
だが、麗奈は構わずに屈みこむと、自分のスカートと下着を下ろし始めた。
何百人もの騎士が見上げる中、巨人の少女は下着を下ろして屈みこんでいる。
地面にしっかりと踵をついてしゃがみ込んだ姿勢は、トイレでしゃがみ込むのと同じ姿だった。
麗奈は、自分の女性器の向きをお城の方へと向けた。
「えへへ、いい眺めでしょ? 大サービスですよ」
まだ、毛も生えていないような少女の性器が露になっていた。
全長100メートルにも及ぶようなそれを見上げた騎士たちは、自分達が何をされるのか悟って、あわてて城の中へと逃げ込む。
「じゃ、ちょっとすいません。
おトイレ行ってきますね。
…て、何処にも行かないですけどね」
言いながら、麗奈は容赦なく放水を始めた。
たちまち、土の山で包囲された空間に、巨人が排泄した小便が貯まっていく。
圧倒的な量と勢いの液体を浴び、城が揺らいでいた。
恐ろしい雨の音に城の中の騎士たちが震えていると、生温かい液は足元からどんどん浸水してくる。仕方なく、騎士たちは上へと逃げていく。
麗奈は城を完全に水没させない程度の所で、城に向かって小便をするのを止めた。
しばらくすると、まだ生きている騎士たちは城壁の上へと逃げてきた。
悠然としゃがみ込んだままの麗奈は、その様子を満足そうに見つめる。
『麗奈、恥ずかしくないの?
あんなに大勢の男が、あなたの大事な所を見上げてるのよ?』
「あはは、そういえばそうですね」
相手は、巨人の少女に小便をかけられても抵抗も出来ず、見上げるしかない虫けら達だ。
別にに何を見られても、麗奈は恥ずかしくは無かった。
「じゃ、みんな、最後に良いものを見せてあげますから、感謝してくださいね」
麗奈は騎士たちに声をかけながら、自分の性器を見せびらかすのをやめて座る角度を変えた。
今度は彼らに尻を向け、見せびらかした。
山のように二つに分かれて盛り上がった少女のお尻を、騎士たちは見上げる。
力を入れているせいだろう。真っ白な肉が微かに震えながら波打っていた。
…このまま、自分達は排泄物で殺されるんだ。
巨人の少女は城をトイレ代わりにして、自分達を弄り殺しにするつもりなのである。
だが、どうしようもない。
城すらも飲み込めるほどに開いた少女の菊門を見て、こんな巨人が相手では、抵抗する事すら出来ない事を感じた。
ブバッ!
その菊門から轟音が響き、悪臭を放つ大量のガスが吹き付けられてきた。
多くの騎士たちは、それに巻き上げられ、城の外に広がる小便の海へと投げ出されてしまう。
それから、ピンク色の菊門が少しづつ開かれ、茶色い塊が顔を出し始めた。
排泄物を外へ押し出してしまおうと、菊門が少しづつ波打っている。
かろうじて、麗奈のガスに吹き飛ばされずに城壁にとどまった兵士達は、逃げ場も無く見上げている。
彼らは巨人の少女のトイレ代わりにされて、その排泄物によって惨めに殺される事を受け入れるしかないのだ。
やがて、彼らの頭上に大量の茶色い塊が降り注いだ。
ドーン!
圧倒的な質量の少女の排泄物は、城も、騎士たちの思いも、全てを押し潰した。
麗奈の排泄物は、城を押し潰し、土の山で囲った空間を満たしていた。
排泄行為の後の恍惚と、勝利の優越感に浸りながら、麗奈は少し屈みこんだままでいる。
「ミッションコンプリート、ですね」
やがて、持っていたポケットティシュで前の穴と後ろの穴を拭き取りながら、麗奈はゲームが終わった事を悟った。
『どう、楽しかった?』
「はい、とっても楽しかったです」
新しい、秘密の遊びである。
だが、残念なのは、この遊びは呼ばれた時しか出来ない事だった。
(完)
( ̄_ ̄)ノ あ ( ̄_ ̄)ノ と ( ̄_ ̄)ノ が ( ̄_ ̄)ノ き
( ̄_ ̄)ノ いや、まあ、たまには、こっち系もみたいな…
( ̄_ ̄)ノ お ( ̄_ ̄)ノ し ( ̄_ ̄)ノ ま ( ̄_ ̄)ノ い